余滴。
 
 
 
■ 若い頃、煩悩をひきづって歩いていた。
 不穏な目つきをしていたもので、よく官憲とケンカした。
 パトカーなら振り切れるが、白バイは駄目だ。
 良いのは、何処かマンションの地下駐車場に紛れ込み、エンジンを切って通り過ぎるのを待つことだった。
 サイレンはドップラー効果で遠ざかってゆく。
 
 
 
■ 金もなく、女もなく、ただの生意気な若造だった。
 きんたまをずるずると引きづって、街をうろついた。
 いい女はみんな笑いながら通り過ぎていった。